【吹奏楽豆知識】サックスが“主役楽器”になるまで〜よそ者から人気者へ。音楽界を変えた一本の楽器〜

智頭先輩

柚葉、サックスって今はめっちゃ人気だけど、実は昔“問題児扱い”されてたって知ってた?

柚葉

は?問題児って…楽器が?
また変な都市伝説とかじゃないでしょうね。

智頭先輩

いやいや、これはガチ。
パリの楽器職人たちにめちゃくちゃ嫌われてたの。登場しただけで敵だらけ。

柚葉

え…サックスくん、波乱万丈じゃん。


目次

🎷 サックスが“主役楽器”になるまで

〜よそ者から人気者へ。音楽界を変えた一本の楽器〜

吹奏楽で「かっこいいパートといえば?」と聞かれたら、けっこうな確率で名前が挙がるのがサックス。
アルト・テナー・バリトン…どれも音が魅力的で、ソロでもバンドでも大活躍。
でもね、この楽器――最初はめちゃくちゃ嫌われてたって知ってました?

吹奏楽でもジャズでも大人気のサックス!

 

アドルフ・サックスという男

サックスという名前は、発明者の名前そのまま。
19世紀、ベルギーのディナンという町で生まれた楽器職人「アドルフ・サックス」が作ったから、サクソフォンっていうんです。

アドルフ・サックスさん 出典:ウィキペディア

彼は子どもの頃から楽器作りに親しみ、やがて「金管みたいに力強く、木管みたいに柔らかい。そのどっちの良さも持った楽器を作ろう」と考え始めます。
その理想をかたちにしたのが、1846年に特許を取った“サクソフォン”。
まさに、ゼロから生み出した新しい楽器でした。

そして彼がこの楽器を発表したのは、活動拠点を移したフランス・パリ
音楽の都パリで、一発逆転を狙ったとも言える大胆な挑戦だったのです。

 

登場するやいなや、敵だらけ

しかしこのサクソフォン、パリの楽器業界では大きな波紋を呼びました。
とくに、クラリネットやオーボエなどを扱っていた木管職人たちのギルド(職人組合)から、強烈な反発を受けることになります。

「こんな金属の楽器が“木管”?ふざけるな」
「自分たちの仕事を奪うつもりか?」

そんな空気が広がり、サックスは何度も訴訟を起こされ、展示会への参加を妨害されたこともありました。
職人としての技術や、堂々とした態度もあってか、サックスは“敵を作りやすいタイプ”だったとも言われています。

一部では「毒を盛られそうになった」「階段から突き落とされそうになった」なんて噂もありますが、そうした話に確かな証拠はありません。
とはいえ、彼がパリの保守的な音楽業界から強い抵抗を受けていたのは確かです。

 

それでも、音がすごかった

でも、サクソフォンの音を聴いた人たちは「おっ?」と思ったんです。
金属ボディなのに、あたたかくて歌うような音色。しかも遠くまで響く。

この特性に注目したのが、軍隊。
サックスは、音がよく通るという利点を買われて、フランスの軍楽隊に採用されていきます。
“舞台ではなく戦場で活躍する楽器”として、まずは実用的な面から評価されるようになりました。

アドルフサックスさんはベルギーでお札になりました。

 

そして、時代はジャズへ

その後20世紀に入ると、アメリカでジャズが誕生します。
この音楽とサックスの相性が抜群すぎた。

自由なフレーズ、感情を込めたビブラート、そして抜群の存在感。
サックスはここで一気に“主役楽器”の座をつかみます。
それと同時に、吹奏楽の中にもアルト・テナー・バリトンといった形で定着。
今のような人気と活躍の場を手に入れていったのです。

 

今の人気の裏には、泥くさい物語がある

いまや「かっこいい」「華がある」と言われるサクソフォン。
でもその裏には、よそ者としてフランスで苦しんだひとりの職人の物語がありました。
信念を曲げず、新しいものを世に送り出そうとしたサックスの姿は、まさに“吹奏楽界のパンクスピリット”。

もし君が何かに挑戦して、ちょっと浮いてしまったとき。
このサックスの歴史を思い出してみてください。
もしかしたら、それは「未来の定番」になる第一歩かもしれません。


柚葉

なんかサックスって“いきなり人気”のイメージだったけど…
こんな泥くさいデビューだったなんて、ちょっと感動したかも。

智頭先輩

でしょ?
最初は浮いてても、信じて続ければ“主役”になれるんだよ。

柚葉

え、なんでちょっと自分にかぶせて語ってるんですか?
誰も先輩の人生の話してないですけど。

智頭先輩

ごめん。

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URL:https://suilabo.kanngakki.jp/

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